スペイン語を勉強していると、多くの方が一度は「単語・語彙の覚え方」で悩みます。
特に、まじめに学習している方ほど、単語帳を作り、コツコツ書き溜めてきたからこそ、ある時ふと「このやり方で本当に力が伸びているのだろうか?」と疑問を感じる瞬間がやってきます。

今回ご紹介するのは、まさにそんな段階に差しかかっている学習者の方からいただいたご相談をもとにした内容です。
単語帳を何年も続け、4,000語近くまで語彙を蓄積してきたにもかかわらず、最近は「書いて満足して終わってしまっている気がする」「覚えている実感がない」と感じている。これは、決して珍しいことではありません。

この記事では、単語帳学習を否定するのではなくその次の段階としてどう考えるべきか、そして私自身がどのように語彙を増やしてきたのかを、できるだけ噛み砕いて整理していきます。

単語の覚え方に「唯一の正解」はありません

まず大前提としてお伝えしておきたいのは、単語の覚え方に万人共通の正解はないということです。

単語帳が合う人もいれば、音読が合う人、読解が合う人もいます。
「こうしなければならない」というルールを探す必要はありません。

大切なのは、自分が納得感を持って続けられているかどうかです。もし今のやり方に違和感がなければ、その方法を続けて良いと思います。

ただし、今回のように「続けてはいるけれど、効果を実感しづらくなってきた」「この先も同じ方法でいいのか不安になってきた」という感覚が出てきたとしたら、それは学習法を見直すタイミングに差しかかっているサインかもしれません。

語彙は「文脈の中で」覚える

語彙を定着させる上で、私がもっとも重要だと考えているポイントは、単語を文脈の中で覚えることです。

例えば、regazoという単語があります。意味は「ひざの上」です。
この単語を辞書的に「regazo = ひざの上」と覚えただけだと、実際にはなかなか記憶に残りません。

ところが、次のような文で覚えたらどうでしょうか。

La niña está sentada en el regazo de su madre.
「女の子はお母さんのひざの上に座っている」

この文を読むと、自然と情景が浮かびます。
その情景とセットで単語を覚えることで、regazoという語のイメージも一緒に頭に残りやすくなります。

さらに、イメージと結びつくと、その単語が持つコンセプトを理解できるようになります。すると、

El hombre trabaja con un portátil en su regazo.
「その男性はノートPCを膝の上に置いて仕事をしている」

といった文も、自分で自然に作れるようになっていきます。

このように、文脈の中で語彙を覚えると、単なる暗記ではなく「使える語彙」として定着していくという大きなメリットがあります。

語彙力アップに物語読解が向いている理由

では、文脈の中で単語を覚えるためには、どんな教材が適しているのでしょうか。

私は物語(ストーリー)を読むことを強くおすすめしています。

新聞記事や評論文、学術的な文章も勉強にはなりますが、どうしても情景をイメージしづらく、単語とイメージが結びつきにくいという弱点があります。

一方で、物語は登場人物や場面を頭の中で思い描きながら読むことになるため、語彙が自然とイメージと結びつきやすくなるのです。

ここで大事なのは、自分のレベルでスムーズに読める内容を選ぶことです。
辞書を引きながら苦労して読むレベルだと、情景を思い浮かべる余裕がなく、語彙の定着効果はあまり期待できません。

もし手元にちょうど良い教材がなければ、Amazonで「lectura infantil」(児童書)、「lectura infantil a partir de 6 años」(6歳以降向け児童書)と検索してみてください。

未就学児向け(5歳以下)は簡単すぎることが多く、7歳以上は急に難度が上がります。
最初は6歳向けからスタートし、慣れてきたら徐々にレベルを上げていくのがおすすめです。

ちなみにこれは、私自身が学習初期に実際に行っていた方法でもあります。
この読解中心の学習によって、短期間で大量の語彙を身につけ、ゼロから11か月でDELE C2に合格することができました。

即効性のある方法ではありませんが、時間と根気をかければ、必ず語彙は積み上がっていきます。
もし今の単語帳学習に限界を感じ始めているのであれば、一度ぜひ試してみてください。

まとめ|語彙学習は「書く」から「使う」段階へ

単語帳を作り、毎日コツコツと語彙を増やしてきたにもかかわらず、ある時点で「書いて終わっている気がする」「覚えている実感がない」と感じ始める。これは、多くの学習者が一度は通る自然な段階です。

それは決して努力不足でも、やり方が間違っていたわけでもありません。むしろ、ここまで継続してきたからこそ見えてくる次の課題だと考えてください。

語彙をさらに伸ばしていくために意識したいのは、単語を単体で覚えることから、文脈や情景の中で理解し、使える形で定着させていくことです。そのためには、物語読解のように、自然とイメージが立ち上がる教材が非常に効果的です。

時間はかかりますし、即効性のある方法ではありません。しかし、きちんと積み上げていけば、語彙は確実に自分のことばとして定着していきます。

もし今、単語帳学習に違和感や限界を感じているのであれば、それは「やめ時」ではなく、学習の質を一段階引き上げるタイミングです。焦らず、ご自身のペースで、語彙を「使える知識」へと育てていきましょう。

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この記事を書いた人

Take(吉川)

ヨルスペ講師Take

前職の社内留学制度でペルー留学を経験し、ゼロからDELE C2 にわずか 11 ヶ月で合格。スペイン語技能検定1級合格(文部科学大臣賞)。

スペイン語教室「ヨルスペ」主宰、「ヨルスペオンライン」講師として延べ2万人以上にスペイン語を指導。

X(旧Twitter)、YouTube、Instagram、Threadsなど各種SNSでもスペイン語情報を発信中。合計フォロワー数は1.7万人以上