スペイン語を学び始めてしばらく経つと、多くの方が一度はぶつかるのが「RとLの聞き取りが難しい」という問題です。文章の中であればなんとなく文脈で分かるものの、単語だけポンと発音されると、どちらの音なのか判断できない…というお悩みをよくいただきます。
今回は、ヨルスペオンラインの受講生の方からいただいたご質問をもとに、スペイン語のRとLの違いを整理しつつ、「そこまで神経質にならなくても大丈夫」という視点も含めてお話していきます。
学習者さんからのご相談
まずは、実際にいただいたご質問を紹介します。
こんにちは。
初めて質問させていただきます。
初歩的な質問ですみませんがRとLの聞き取りが難しいのですが何かコツはありますか?
リスニングの時には文脈でわかることが多いのですが、単語のみで発音された時にわからないことが多いです。
R / L の聞き取りは、多くの日本人学習者にとって「ある程度までは慣れるけれど、完全に不安が消えることはなかなかない」テーマです。ですので、同じ悩みをお持ちの方は、かなり多いと思っていただいて大丈夫です。
まずRには2種類の音がある
スペイン語のRは、厳密には2種類あります。
- 強いR(巻き舌)
単語の最初のrやrrに現れる音。
例:rojo(赤)、perro(犬)
- 弱いr(軽く弾く音)
単語の中で現れるrの音。
例:pero(しかし)、caro(高い)
日本語話者がつまずきやすいのは、主に弱いrとLの聞き分けです。強いR(巻き舌)は音としてかなり特徴的なので、意外とこちらは聞き取りやすい、という方が多い印象があります。
弱いrとLの物理的な違い
弱いrとLの違いは、舌の動き方にあります。ざっくり言うと次のようなイメージです。
| 音 | 舌の動き | ポイント |
| 弱いr | 舌先を一瞬だけ上あご(歯茎の裏)に軽く弾く | 一拍だけ当てて離す 例:サッポロの”ロ”の音 |
| L | 舌先を上あご(歯茎の裏)につけたまま音を出す | 日本語の「ラ行」に近い感覚 例:ラッキョの”ラ”の音 |
弱いrは、「一瞬だけ当てて、すぐに離れる」のに対し、Lは「つけたまま、息を出す」イメージです。この違いが、Lとrの音の差になっています。
…とはいえ、頭でわかっていても、聞き取りとなると話は別です。日本語ではそもそもL/Rの違いを聞き分ける必要がないため、「聞き分ける耳」が育ちにくい、という前提があります。
結論:L/Rは「完璧でなくても大きな問題にはなりにくい」
ここで一番お伝えしたいのは、
スペイン語学習において、L/Rを完璧に聞き分けられなくても致命的な問題になることはほとんどない
という点です。
もちろん、単語の意味が変わる例は存在します。
pelo:毛pero:しかし
ただ、こうした例外的なペアを除けば、ほとんどの場面では文脈が助けてくれます。実際、リスニングの時には「前後の意味で何を言っているか分かる」という方も多いはずです。
そのため、L/Rに関しては「一朝一夕で劇的に改善しよう」と考えるよりも、
- 文脈で意味が取れているなら、それで80〜90%OKと考える
- 単語単独での聞き取りは「できたらラッキー」くらいの感覚で少しずつ慣らしていく
くらいのスタンスの方が、かえって学習が続きやすいと思います。
「少しずつ慣れていく」ための現実的なアプローチ
とはいえ、「じゃあ何もしなくていいか」というと、そういうわけでもありません。完璧を目指す必要はありませんが、少しずつ耳を慣らしていく工夫はできます。
- ① RとLの最小対(pelo / pero など)を録音して聞き比べる
自分で声に出して録音し、あとから聞き比べると、舌の動きと音の違いが少しずつ見えてきます。
- ② 単語だけでなく「短いフレーズ」で聞いてみる
単語単独だと難しくても、pero es caroのようにフレーズで聞くと、文全体のリズムに助けられて聞き取りやすくなる場合があります。
- ③ 「聞き分ける」より「自分で発音するときに意識する」
自分の口でR/Lを意識して発音する練習を続けると、結果的に耳も少しずつ敏感になっていきます。
ここで大事なのは、R/Lに神経をすり減らしすぎないことです。スペイン語の発音は全体として日本語に近い部分が多く、「L/Rだけが唯一の難所」といってもいいくらいです。ですので、ある程度は「時間をかけて慣れていくもの」と割り切ってしまって構いません。
ヨルスペオンラインで「日本語で分かる発音の仕組み」を身につけよう
今回のようなR/Lの話は、教科書だけを読んでいても、なかなかピンとこないテーマのひとつです。「舌をここに当てます」と説明されても、実際の音・文脈・日本語との差をセットで理解しないと、実感が湧きにくいからです。
ヨルスペオンラインでは、こうした発音や文法の疑問にも、日本語で論理的にお答えしています。動画レッスンに加えて、LINEで365日24時間ご質問を受けつけており、今回のような「ちょっとした引っかかり」にも一つ一つお返事しています。
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