スペイン語を学んでいると、「過去から今も続いている動作」をどう表すかで迷うことがあります。 英語では “I have studied Spanish for three years.” と言えるので、 ついスペイン語でも He estudiado español desde hace tres años. と言いたくなりますよね。
しかし実はこの文、スペイン語では少し不自然に響きます。 スペイン語の現在完了は英語ほど継続のニュアンスを持たず、 むしろ「完了」や「経験」を表すことが多いのです。
この記事では、「過去から今も続く」という継続表現で 現在形と現在完了をどう使い分けるかを、例文とともに整理していきます。
① 「過去から今も～している」は現在形で表すのが自然
まず押さえておきたいのは、 スペイン語では継続を表すときに「現在形」を使うのが基本だということです。
- Estudio español desde hace tres años.
3年前からスペイン語を勉強しています。 - Vivo aquí desde 2020.
2020年からここに住んでいます。
このように、「desde（〜から）」や「desde hace（〜前から）」とセットで使う場合、 現在形の方が自然に響きます。 つまり、「過去に始まって今も続いている」動作は、スペイン語では現在形で表現するのです。
これはスペイン語の時間感覚の違いによるものです。 スペイン語話者にとって「今も続いている」＝「現在進行中」なので、 完了形よりも今の状態を強調する現在形がふさわしいと感じられます。
② 現在完了は「完了・経験・結果」を表す
一方で、現在完了（he＋過去分詞）は、 「今までに〜したことがある」「〜してしまった」「〜したばかりだ」などの意味で使われるのが一般的です。
- He estudiado español en la universidad.
大学でスペイン語を勉強したことがあります。 - He vivido en Madrid dos años.
マドリードに2年間住んだことがあります。
この場合、「今も続いている」よりは「すでに経験済み」「終わった」といったニュアンスになります。 そのため、He estudiado español desde hace tres años. という文は、 文法的には成立していても、話者の感覚としてはやや違和感が残ります。
英語の “I have studied Spanish for three years.” に慣れていると、 同じ構文をスペイン語に当てはめたくなりますが、 ここがまさに英語とスペイン語のズレです。
③ 英語との違いに注意：「have＋過去分詞」＝スペイン語の完了形ではない
英語では “have＋過去分詞” が「過去から今まで続く」動作を表しますが、 スペイン語の haber＋過去分詞 は「過去に完了した」ことを指す場合が多いです。
そのため、英語の感覚でスペイン語の完了形を使うと、 「もう終わったの？」というニュアンスになることがあります。
例えば：
- He vivido aquí desde 2020.
（ニュアンス：2020年から住んでいた、でも今はもう住んでいないかも） - Vivo aquí desde 2020.
（ニュアンス：2020年から今も住んでいる）
この違いは、微妙ですが非常に重要です。 「今も続いていること」を伝えたいなら、迷わず現在形を選びましょう。
④ 地域差もある：スペインでは完了形を好む傾向
ただし、地域によっても使い方に違いがあります。 たとえばスペイン（特に首都マドリード周辺）では、 ラテンアメリカよりも現在完了が頻繁に使われます。
そのため、「He vivido aquí desde 2020.」といっても不自然に感じない話者もいます。 一方、メキシコやアルゼンチンなどのラ米地域では、 このような文脈ではほとんどの場合現在形が使われます。
つまり、学習段階では「現在形が基本」「地域によって完了形も使われる」 という形で覚えておくと安心です。
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