スペイン語を勉強していると、文の途中で名詞+que+不定詞という形を目にすることがあります。文法書ではさらっと触れられるだけのことも多いですが、実は「〜すべき〇〇」「〜できる〇〇」をコンパクトに表せる、かなり便利なパターンです。

例えば、次のような文です。

  • Tengo un libro que leer para mañana.
    明日までに読まなければいけない本がある。
  • Te envío una lista de películas que ver en familia.
    家族で見られる映画のリストを送るね。

どちらも構造は同じ名詞+que+不定詞ですが、意味は少し違います。

  • Tengo un libro que leer… → 「読まなければいけない本」=義務のニュアンス
  • películas que ver en familia → 「家族で見られる映画」=可能のニュアンス

この記事では、この名詞+que+不定詞のパターンについて、

  • 義務のニュアンス
  • 可能のニュアンス
  • 前置詞付き:del que+不定詞 のパターン
  • 名詞の代わりに疑問詞が来るパターン(No sé qué decir など)

を、日本語で整理しながら見ていきます。

名詞+que+不定詞の基本:義務か、可能か

名詞+que+不定詞は、コアとしては

「〜するべき〇〇」あるいは「〜できる〇〇」

という意味を作ります。実際に、どちらの意味になるかは文脈から判断する必要があります。

ニュアンス典型的な訳
名詞+que+不定詞義務(〜すべき〇〇)読むべき本・やるべき仕事など
名詞+que+不定詞可能(〜できる〇〇)見られる映画・やれることなど

文脈次第でどちらにもなりうる、というのがポイントです。

①義務のニュアンス:「〜すべき本」「〜しないといけない仕事」

まずは、比較的分かりやすい「義務」のパターンから見てみます。

  • Tengo un libro que leer para mañana.
    明日までに読まなければいけない本がある。
    →「明日まで」という期限が付いているため、「読む必要がある本」という義務のニュアンスが強くなります。

他にも、同じ型で色々と作ることができます。

  • Tengo muchos deberes que hacer hoy.
    今日はやらなければいけない宿題がたくさんある。
  • Tenemos varios informes que entregar esta semana.
    今週中に提出しなければいけないレポートがいくつかある。
  • No tengo nada que estudiar para mañana.
    明日に向けて勉強しなければいけないことは何もない。
    (=テストや宿題など「義務的な勉強」が何もない)

いずれも、tener+名詞+que+不定詞という形で、「〜すべき〇〇を持っている」=「〜しなければいけない〇〇がある」という意味を作っています。

このパターンは、tener que+不定詞(〜しなければならない)と相性が良く、組み合わせて使うこともできます。

  • Tengo un informe que escribir y tengo que terminarlo hoy.
    書かなければいけないレポートがあって、それを今日終わらせないといけない。

「名詞+que+不定詞」の部分で「すべき対象」を説明しつつ、文全体としてはtener que+不定詞で義務を明示しているイメージです。

②可能のニュアンス:「〜できる映画」「〜として使えるもの」

次に、「可能」のニュアンスを見てみましょう。

  • Te envío una lista de películas que ver en familia.
    家族で見られる映画のリストを送るね。
    →ここでは「見なければならない映画」ではなく、「家族で見ることができる映画」という可能のニュアンスです。

同じパターンで、他にもこんな言い方ができます。

  • Busco un piso que alquilar en el centro.
    中心街で借りられるアパートを探している。
  • No tengo nada que hacer esta tarde.
    今日の午後はすることが何もない。
    (=「やろうと思えばできること」が何もないイメージ)
  • Hay muchos lugares que visitar en Kioto.
    京都には訪れることができる場所がたくさんある。

ここでも、文脈を見れば「義務」ではなく、「〜することが可能な対象」「〜として利用できる対象」であることが分かります。

ですので、名詞+que+不定詞を見たときは、

  • 期限・責任・宿題などが絡んでいる → 義務のニュアンスになりやすい
  • 選択肢・候補・利用可能なもののリスト → 可能のニュアンスになりやすい

という視点で読むと、意味の取り方が安定してきます。

前置詞付き:del que+不定詞 で「〜について話すべき本」

先ほどまではシンプルにque+不定詞でしたが、このqueに前置詞が付くパターンもあります。

例えば:

  • Tengo un libro del que hablar en la clase mañana.
    明日、クラスで話さなければいけない本がある。

ここでは、動詞hablar de+名詞(〜について話す)という形が元になっています。

元の発想は:

  • Voy a hablar de un libro en la clase mañana.
    明日の授業で、ある本について話す予定だ。

このde un libroの部分が、名詞+del que+不定詞という形にくっついているイメージです。

同じパターンで、他にも色々と応用ができます。

  • No tengo ningún tema del que hablar con él.
    彼と話すべき話題が何もない。
  • Tienes muchos problemas por los que preocuparte.
    君には心配すべき問題がたくさんある。

ポイントは、元の動詞が前置詞とくっつくタイプかどうかです。

  • hablar de algo(〜について話す)→ del que hablar
  • preocuparse por algo(〜のことで心配する)→ por el que preocuparse など

「元の動詞+前置詞+名詞」の関係を保ったまま、名詞+前置詞+que+不定詞という形でまとめているイメージで捉えておくと分かりやすいと思います。

名詞の代わりに疑問詞がくるパターン:No sé qué decir など

ここまで見てきたのは、名詞+que+不定詞のパターンでしたが、「名詞」の部分が疑問詞に置き換わることもあります。特によく出てくるのがqué+不定詞です。

例えば:

  • No sé qué decir.
    何を言うべきかわからない/何を言えるのかわからない。

ここでも、「義務」と「可能」のどちらのニュアンスも取り得ます。

文脈によってどちらとも訳しうる、という意味では、先ほどの「名詞+que+不定詞」とまったく同じ発想です。

もう少しだけ例を見てみます。

  • No sé qué hacer.
    どうしたらいいかわからない。
    (=何をするのが適切なのか/何ができるのか分からない)
  • No sé qué escoger.
    何を選ぶべきか分からない/何を選べばいいか分からない。

さらに、疑問詞+前置詞+不定詞という形もあります。

  • No tengo en qué pensar.
    考えるべきことが何もない。
    ※pensar en+名詞で「〜について考える」

元々はpensar en+名詞という形なので、

「考えるべき何か → en qué pensar」

というふうに、名詞の位置にquéが入っている、と捉えるとスムーズです。

他にも、

  • de qué hablar(何について話すべきか/話せるか)
  • con quién hablar(誰と話すべきか/話せるか)

といった形で、「前置詞+qué+不定詞」のパターンが広がっていきます。

まとめ:構造で覚えると応用しやすい

今回の内容を、構造ベースでまとめておきます。

  • 名詞+que+不定詞
    →「〜すべき〇〇」(義務)/「〜できる〇〇」(可能)を表せる。
  • Tengo un libro que leer para mañana.
    →「明日までに読まなければいけない本」=義務。
  • películas que ver en familia
    →「家族で見られる映画」=可能。
  • 前置詞付きのパターンもある:del que+不定詞
    例:Tengo un libro del que hablar en la clase mañana.
  • 名詞の代わりに疑問詞が来るパターン:qué+不定詞
    例:No sé qué decir. / No tengo en qué pensar.

大事なのは、「これは関係代名詞queが導く、不定詞付きの修飾節だ」という構造を意識することです。一度仕組みが分かってしまえば、単語を入れ替えるだけで応用が効くようになります。

読解の場面でも、「名詞+que+不定詞」が見えたら、いったん「〜するべき〇〇」か「〜できる〇〇」という枠組みで意味を当ててみると、理解がスムーズになるはずです。

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今回扱った「名詞+que+不定詞」や「qué+不定詞」のような表現は、文法書の説明だけだとどうしてもイメージしづらく、「なんとなく読めるけど、自分では使えない」状態になりがちなポイントです。

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