スペイン語を学んでいると、「現在完了(ha+過去分詞)」と「接続法現在完了(haya+過去分詞)」のどちらを使えばいいのか迷う場面があります。特に、関係節などでどちらも文法的に可能なケースは、意味の違いを明確に理解しておく必要があります。
今回は、実際に生徒さんからいただいた質問をもとに、直説法ha cometidoと接続法haya cometidoのニュアンスの違いを整理してみましょう。
質問文
以下は、ヨルスペオンラインの「中級2・Vol.7」で出てきた例文です。
Están buscando a la mujer que (ha cometido / haya cometido) varios hurtos en los supermercados del barrio.
(彼らは、その地区のスーパーマーケットでいくつかの窃盗を犯した女性を探している。)
学習者の方から「なぜ haya cometido ではなく ha cometido になるのか?」というご質問をいただきました。
現在完了 ha cometido のニュアンス
直説法の ha cometido は、「話し手がその出来事を事実として認識している」場合に使われます。つまり、すでに「万引きをした女性が実在する」と話し手が確信している文脈です。
- Están buscando a la mujer que ha cometido varios hurtos.
(彼らは何度も万引きをした女性を探している。)
この文では、警察や被害者などが「犯人が確実に存在する」と認識しており、実際に捜査を進めている状況を表しています。 つまり、事実確認済みの過去の出来事に焦点があるときは、直説法のha cometidoが自然です。
接続法現在完了 haya cometido のニュアンス
一方で、接続法の haya cometido は、「話し手がその出来事を現実のものとして確信していない」場合に使われます。つまり、「そんな女性がいるのかどうか分からないが、もしそうなら探している」という仮定的・想定的な意味合いを含みます。
- Están buscando a una mujer que haya cometido varios hurtos.
(もし何度か万引きをした女性がいるなら、その人を探している。)
この文では、犯人の存在がまだ確定しておらず、「そういう人がいるかもしれない」という不確実な状況を表しています。たとえば、テレビ番組や噂話のように、事実関係が明確でない文脈で使うと自然です。
定冠詞 la mujer が示すポイント
今回の例文では、すでに「la mujer」と定冠詞が付いています。これは「その女性=特定の人物」を指しており、話し手・聞き手の双方がその存在を前提にしていることを示唆します。
したがって、文全体としては「実際に犯行を重ねた女性が存在しており、今その人物を探している」という前提になります。 このため、直説法の ha cometido がより自然な選択といえるでしょう。
逆に、不特定の「そんな人がいれば」というニュアンスにしたい場合には、定冠詞ではなく una mujer que haya cometido〜 のように不定冠詞を使う方が文脈に合います。
まとめ:確実性が鍵
ha cometido と haya cometido の違いは、「話し手がその出来事をどれだけ確実なものとして捉えているか」という一点に尽きます。 確信があるなら直説法、まだ仮定や想像の段階なら接続法を使う――この原則を意識しておくと、会話や作文で迷わなくなります。
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このように、スペイン語の文法は「どちらも正しいが、微妙に意味が違う」というケースが多く見られます。ヨルスペオンラインでは、日本語で丁寧に文法の背景を解説しながら、作文や読解に応用できる実践的な力を身につけることができます。
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