スペイン語で時間の表現をしていると、enとdentro deのどちらを使うべきか悩む場面がよくあります。「5分で着くよ」「30日後に結婚する」など、日本語では同じように「〜で/〜後に」と言ってしまうので、余計に迷いやすいところかもしれません。
実際のスペイン語でも、enとdentro deがほぼ同じ意味で使われることは多く、文脈上どちらでも通じることがほとんどです。ただ、ニュアンスをきちんと整理しておくと、「なぜここはdentro deの方がしっくりくるのか?」というところまで理解できるようになります。
この記事では、en=「所要時間」、dentro de=「経過時間」という軸で、いくつかの例文を見ながら、実際の会話での使い分け方を整理していきます。
enとdentro deの基本イメージ:所要時間 vs 経過時間
まずは、enとdentro deのざっくりとした違いから押さえておきましょう。両者とも「〜後に」と訳せることが多いのですが、ニュアンスは次のように整理することができます。
| 前置詞 | 基本イメージ | 典型的な訳 | 例 |
| en+時間 | ある動作にかかる「所要時間」 | 〜で(〜かけて) | Terminé el trabajo en dos horas. 2時間で仕事を終えた。 |
| dentro de+時間 | 今からの「経過時間」後の一点 | 〜後に | Te llamaré dentro de dos horas. 2時間後に電話するよ。 |
とはいえ、実際の会話ではこの線引きがそこまで厳密に守られているわけではなく、文脈がはっきりしている場合にはenとdentro deが同義で使われることも多いです。その一方で、「どちらを選ぶか」でニュアンスが微妙に変わるケースもありますので、具体例を見ながら確認していきましょう。
「5分で着くよ!」近い未来ではenとdentro deはほぼ同義
まずは、日常会話で非常によく使う、「すぐ着くよ!」のパターンから見ていきます。
- Llego en 5 minutos.
5分で着くよ。 - Llego dentro de 5 minutos.
5分後に着くよ。
①②の2つは、実際の会話ではほぼ同じ意味として使われています。どちらを使っても、「今から5分くらいで到着する」というメッセージは問題なく伝わります。
ただ、ニュアンスの違いをあえて言語化するなら、次のように整理できます。
- Llego en 5 minutos.
→「到着までにかかる所要時間は5分くらい」のイメージ。
- Llego dentro de 5 minutos.
→「今から数えて5分経った時点で着いているはず」のイメージ。
とはいえ、「今から5分で着く」という状況では、所要時間と経過時間がほぼ一致してしまうため、ネイティブもそこまで厳密に使い分けているわけではありません。近い未来・短い時間であれば、どちらを使っても違和感が出にくいポジションです。
同じパターンで、会話でよく使いそうな例を挙げてみます。
- Te llamo en 10 minutos.
10分で電話するね。(=10分後くらいに電話するね)
- Te llamo dentro de 10 minutos.
10分後に電話するね。
このように、近い未来+短い時間(数分〜数十分)であれば、enとdentro deはかなりゆるく同義で使われることが多いです。
「30日で結婚する」?「30日後に結婚する」?結婚の例で考える
次に、少し長めの期間で考えてみましょう。極端な例として、次の2つの文を比べてみます。
- Voy a casarme en 30 días.
私は30日で結婚する。
- Voy a casarme dentro de 30 días.
私は30日後に結婚する。
③と④は、実際には同じ「30日後の結婚」を指して使われることも多いです。会話の中では、どちらの文を使っても、普通は「30日後に結婚式があるんだ」の意味で理解されます。
ただし、ニュアンスを厳密に追うなら、次のような違いがあります。
- Voy a casarme en 30 días.
文脈によっては、「結婚までのプロセスに30日かかる」という印象を与える可能性があります。ただ、日常的には「30日後に結婚する」と解釈されることがほとんどです。
- Voy a casarme dentro de 30 días.
「今から30日という時間が経過した地点で結婚する」=「30日後に結婚する」という、経過時間をはっきり示す表現です。
つまり、結婚が「いつ行われるのか」という一点を明確にしたい場合は、dentro deを使うとスッキリした表現になる、と整理できます。
実際のスペイン語では、単なる予定の表現としてVoy a casarme en 30 días.が使われることも多いのですが、「経過時間」を強調したい場合にはdentro deを推奨する立場もあり、学習者としては「予定の日付を言うときはdentro deの方が安全」と覚えておくと良いかもしれません。
所要時間を言いたいのか、締切/予定の時点を言いたいのか
enとdentro deの違いをもう少しはっきりさせるために、「レポートを書く」「レポートを提出する」という2つの状況で考えてみましょう。
- Voy a terminar el informe en 3 días.
私はレポートを3日で仕上げるつもりだ。
→「書き上げるのに3日かかる予定」という、所要時間にフォーカスした言い方。
- Voy a entregar el informe dentro de 3 días.
私は3日後にレポートを提出するつもりだ。
→「今から数えて3日経った時点で提出する」という、締切・予定の時点にフォーカスした言い方。
このように、
- 「その行為にどれくらい時間がかかるか」を表現したい → en+時間
- 「今から数えていつそれをするのか」という予定のタイミングを示したい → dentro de+時間
という使い分けで考えると、だいぶ整理しやすくなります。
もちろん、文脈がはっきりしていれば、Voy a terminar el informe en 3 días.も現実的には「3日後に終わらせる」という予定の意味で解釈されますので、会話の中でそこまで細かく意識されているわけではありません。ただ、頭の中で「所要時間」と「経過時間」を切り分けておくことで、微妙なニュアンスの違いも見えてくるようになります。
実際の会話での選び方:迷ったときのシンプルな指針
では、実際にスペイン語を話すとき、enとdentro deのどちらを選べば良いのでしょうか。細かい理屈を踏まえたうえで、実践的な指針をまとめると、次のようになります。
- 近い未来(数分〜数十分)なら、enでもdentro deでも大きな差はない
Llego en 5 minutos. / Llego dentro de 5 minutos. (5分で着くよ)
→会話ではどちらもよく使われる。
- 「〜後に(予定)」「〜日後にイベントがある」と言いたいときはdentro deが無難
Voy a casarme dentro de 30 días. (30日後に結婚する)
El curso empieza dentro de dos semanas. (2週間後にコースが始まる)
→「今からの経過時間後の一点」を明確に示せる。
- 「〜で終わる/〜で仕上げる」のように所要時間を強調したいならen
Terminé el libro en tres días. (3日で本を読み終えた)
Puedo hacerlo en una hora. (1時間でそれをできるだろう)
実際のネイティブの会話では、このあたりを厳密に使い分けているわけではありませんが、学習者としては「予定の時点=dentro de」「所要時間=en」という軸を頭に置いておくと、文の組み立てがかなり楽になります。
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今回見てきたように、enとdentro deの違いは、文法書にはサラッとしか書かれていないことが多い一方で、実際の会話では頻繁に登場します。このような「知っている単語だけれど、使い分けがもやっとしているポイント」を一つずつクリアにしていくことで、スペイン語の運用力は着実に上がっていきます。
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