スペイン語の「直接目的語の重複」とは？｜Los panes los hago… が正しくて Los panes hago… が誤りになる理由

スペイン語を勉強していると、「あれ、形としては似ているのに、片方は正しくて片方は間違い？」という文に出会うことがあります。今回ご紹介するのは、ヨルスペオンラインの受講生の方からいただいた質問で、多くの学習者が一度はつまずくテーマでもある、「直接目的語の重複」についてです。

質問の中心になっているのは次の2つの文です。意味は「塩を使ってパンを作る」です。

① Los panes los hago con sal.
② Los panes hago con sal.

見た目はとてもよく似ています。しかし①は文法的に正しく、②は文法エラーになります。なぜ代名詞 los が必要になるのか？今回のポイントはここにあります。

学習者さんからいただいたご質問

受講生の方からは、次のようなご質問をいただきました。

Los panes los hago con sal.

と

Los panes hago con sal.

では何が違いますか？

hago の前に置かれた los が、なぜ必要なのか分かりません。

この疑問は非常に良い着眼点で、スペイン語の語順と情報構造の理解に深く関わる部分です。ここを整理しておくと、表現力が一段広がります。

スペイン語では代名詞化する前の直接目的語を動詞の前に出して強調するとき、直接目的語代名詞（lo/la/los/las）を併用する必要があります。これが「直接目的語の重複（duplicación del objeto directo）」と呼ばれる現象です。

まずは通常の語順から見てみましょう。

ここで el sofá を強調したい場合、スペイン語では語順を変えて次のようにします。

このときに重要なのは、動詞の前に出して語が直接目的語であることを示すために、代名詞 lo を添える必要があるという点です。スペイン語では、この重複が文法として義務になります。

つまり、El sofá compré… のように代名詞なしで直接目的語を動詞の前に置くと、文法的に不自然（エラー）になります。

では、質問文を見てみましょう。

Los panes los hago con sal.
（パンは塩を入れて作っています。）

この文は、los panes を文頭に出して「パン」という話題・対象を強調しています。そのため、動詞の前に直接目的語代名詞 los（= los panes を指す）が必要になります。

対して、代名詞を置かずに書いた次の文は文法的に誤りです。

× Los panes hago con sal.

スペイン語話者はこの形を見ると、「文の構造が途中で崩れてしまっている」ように感じます。文頭に出した目的語が宙に浮くためです。

スペイン語では、語順だけ変えると主語と目的語の区別がつきにくくなるため、それを避けるために代名詞を使って役割を保証するというルールがあります。特に目的語を前にもってくる倒置は、話題を変えるときや特定の要素を強調するときによく使われるため、明確な標識が必要なのです。

そのため、

というルールが存在しています。

実はこのルール、スペイン語の自然なリズムや情報構造を理解するうえでとても大切で、慣れると作文力や読解力の飛躍的な向上につながります。

今回のように、スペイン語の文構造は「ルールとして知ってしまえばシンプル」だけれど、独学では気づきにくいポイントがたくさんあります。直接目的語の重複もその一つで、知っているかどうかで文章の自然さが大きく変わります。

ヨルスペオンラインでは、こうした文法の細かい疑問にも、日本語で論理的に、体系的に回答しています。動画レッスン、LINEでの質問、作文添削などを通じて、スペイン語の基礎をしっかり積み上げていける学習環境を用意しています。

スペイン語を「なんとなく読める」から、「構造ごと理解して運用できる」レベルへ。そんな学習を進めていきたい方は、ぜひ一度ヨルスペオンラインを覗いてみてください。

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