スペイン語学習の大きな目標の一つである「DELE C1(上級)」。その中でも、口頭試験(Examen oral)は、ただ流暢に話すだけでなく、論理的な構成力や交渉力が求められるため、「最大の難関」と感じている方も多いのではないでしょうか。

今回の記事では、インスティトゥト・セルバンテスが公開している最新のモデル試験(2024年4月以降の形式)の内容を参考に、DELE C1口頭試験の全タスクについて、具体的な回答例を交えながら丁寧に解説していきます。

試験の全体像を把握しよう

まずは、試験がどのような流れで進むのか、全体像をチェックしておきましょう。DELE C1の口頭試験は、「準備時間」と「試験時間」に分かれています。

  • 準備時間(20分)
    タスク1とタスク2の準備を行います。ここでメモを取ることができますが、本番ではそのメモを読み上げることはできませんので、要点をまとめる程度にしておきましょう。
  • 試験時間(約20分)
    以下の3つのタスクを行います。
    タスク内容時間
    タスク1テキストに基づくプレゼンテーション3〜5分
    タスク2タスク1のテーマに関する試験官との対話4〜6分
    タスク3交渉による合意形成(準備なし)4〜6分

タスク1:テキストに基づくプレゼン

最初のタスクは、準備時間に読んだ約800語のテキストについて、要約・評価・意見を述べるプレゼンテーションです。今回のモデル試験のテーマは「ビデオ会議による疲れ(Fatiga por las videoconferencias)」です。

ここでは、以下の3つの要素をバランスよく盛り込むことが合格のカギとなります。

  • 要約(Resumen):テキストの主要なポイントをまとめます。
  • 評価(Valoración):テキストの明確さや著者の意図について評価します。
  • 意見(Opinión):テーマについて自分の考えを述べます。

例えば、以下のように話を進めてみましょう。

  • El texto trata sobre el fenómeno conocido como ‘fatiga de Zoom’, causado por las reuniones virtuales constantes.
    (このテキストは、絶え間ないバーチャル会議によって引き起こされる『Zoom疲れ』という現象について扱っています。)
  • El autor presenta argumentos sólidos respaldados por estudios, como el de la Universidad de Stanford.
    (著者は、スタンフォード大学の研究などに裏打ちされた確固たる論拠を提示しています。)
  • Personalmente, estoy de acuerdo con la idea de apagar la cámara para reducir el estrés visual.
    (個人的には、視覚的なストレスを軽減するためにカメラをオフにするという考えに賛成です。)

タスク2:試験官との対話

タスク2では、タスク1のテーマについて試験官から質問されます。単に答えるだけでなく、議論を広げる力が試されます。例えば、「ビデオ会議は対面に比べて誤解が生じやすいと思いますか?」といった質問が想定されます。

回答の際は、接続法などを使って少し複雑な構文に挑戦してみましょう。

  • “Es probable que surjan más malentendidos en las videollamadas porque perdemos gran parte del lenguaje no verbal.”
    (非言語コミュニケーションの大部分が失われるため、ビデオ通話では誤解が生じる可能性が高くなります。)

タスク3:交渉と合意形成

最後のタスク3は準備時間なしの即興タスクです。写真や選択肢を見ながら、試験官と話し合って一つの結論を出します。今回のシチュエーションは、「テレビ番組で獲得した賞金10,000ユーロを、どのNGO(非政府組織)に寄付するかを決める」というものです。

選択肢として以下の4つが提示されています。

  • Amigos del planeta(環境保護)
  • Recuperamos y restauramos el patrimonio artístico(芸術遺産の修復)
  • Salvando gatos callejeros(野良猫の救済)
  • Protectores del consumidor(消費者保護)

試験官はあえて反論をしてきますが、それを受け入れつつ、妥協点を見つける柔軟性が評価されます。以下のようなフレーズを使って交渉を進めましょう。

  • “Entiendo tu punto de vista, pero creo que la opción de los gatos callejeros es más concreta.”
    (あなたの観点は理解できますが、野良猫の選択肢の方がより具体的だと思います。)
  • “¿Te parece bien si elegimos la protección del consumidor? Afecta a todos.”
    (消費者保護を選びませんか?全員に関係することですので。)

ヨルスペオンラインでDELE C1口頭試験の土台を作ろう

ここまで見てきたように、DELE C1の口頭試験は「流暢に話せるかどうか」だけを測る試験ではありません。
高度なテキストを整理し、評価し、自分の立場を論理的に展開し、相手と合意形成まで持ち込めるか——その総合力が問われます。

一見すると難解に感じられる試験ですが、実際にはタスクの構造・評価観点・要求される発話の型が非常にはっきりしている試験でもあります。
裏を返せば、C1であっても「場当たり的なアドリブ」に頼る必要はなく、事前に準備できる部分が極めて多いということです。

ヨルスペオンラインでは、A1〜C1までの文法・語彙・読解を日本語で丁寧に解説した動画に加え、DELE・西検レベルの作文添削、構文改善、論理構成チェックまで一貫して対応しています。「C1の試験本番でそのまま使える思考とスペイン語」を一緒に作り上げていきます。

DELE C1の口頭試験は、決して「才能」や「勢い」で突破する試験ではありません。
構造を理解し、言うべきことを整理し、それを落ち着いて提示する、その積み重ねこそが合格への近道です。

C1はゴールではなく、「本当の意味でスペイン語を運用できる入口」です。
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この記事を書いた人

Take(吉川)

ヨルスペ講師Take

前職の社内留学制度でペルー留学を経験し、ゼロから
DELE C2 にわずか 11 ヶ月で合格。スペイン語技能検定1級合格(文部科学大臣賞)。

スペイン語教室「ヨルスペ」主宰、「ヨルスペオンライン」講師として延べ2万人以上にスペイン語を指導。

X(旧Twitter)、YouTube、Instagram、Threads など各種SNSでもスペイン語情報を発信中。合計フォロワー数は 1.7万人以上


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