DELE A2の勉強をしていると、多くの方が口を揃えてこう言います。

「読解とリスニングは問題集を解いていけば何とかなりそうだけど、口頭試験だけがどうしても不安です……」

特にA2レベルの口頭試験(Prueba de Expresión e Interacción Orales)は、

  • A1のときより話す量が増える
  • 過去の経験・未来の予定についても話す必要が出てくる
  • 模擬的な状況での「会話」が求められる

といった理由から、心理的ハードルが一気に上がりやすいパートです。

ですが、DELE A2の口頭試験が目指しているのは、あくまで「日常生活での簡単な会話」です。流暢さや完璧な文法ではなく、

  • 課題で求められている情報をきちんと伝えられるか
  • 多少間違えても、メッセージが理解できるか
  • 会話を止めずに続けようとしているか

といった、ごく実用的なポイントが見られています。

この記事では、DELE A2の口頭試験について、

  • 3つのタスクの流れと評価の考え方
  • 課題イメージ
  • A2レベルで十分な模範解答(スペイン語+日本語訳付き)
  • 合格ラインに乗せるための戦略

を、できるだけわかりやすく整理して解説していきます。

DELE A2口頭試験の全体構造:準備12分+本番12分

まずは、DELE A2の口頭試験全体の構造を押さえておきましょう。

項目内容
準備時間
(Tiempo de preparación)
12分(Tarea 1・2・3のカードや写真を見てメモを作成)
試験時間
(Duración de la prueba)
12分(3つのタスクを連続して実施)
構成Tarea 1:テーマについての独話
Tarea 2:写真の描写
Tarea 3:面接官との会話

いずれのタスクでも共通して重要なのは、

  • カードや指示文に書かれているポイントを漏らさず話すこと
  • 文法の完璧さよりも、必要な情報をきちんと伝え切ること

です。ここを押さえておくと、細かいミスがあってもタスク達成度の面で大きく減点されることはありません。

Tarea 1:テーマについてのモノローグ(Exposición sobre un tema)

Tarea 1では、面接官が選んだ2枚のテーマカードから1枚を選び、カードに書かれている4つのポイントに沿って2〜3分間話すタスクです。形式としては、いわゆる「独話(モノローグ)」になります。

例えば次のようなテーマが提示されます。

テーマ例:Viajar(旅行)

話すべきポイント
1. ¿A dónde le gustaría ir de viaje?
どこへ旅行に行きたいですか?
2. ¿Cuándo?
いつ行きたいですか?
3. ¿Con quién?
誰と行きたいですか?
4. ¿Por qué?
なぜそこへ行きたいですか?

評価の上で最も重要なのは、この4つをきちんとカバーできているかどうかです。文法は多少間違えても構いませんが、「どこ・いつ・誰と・なぜ」のいずれかが抜け落ちてしまうと、タスク達成度が下がってしまいます。

以下は、A2レベルで十分合格ラインに届く独話のイメージです。

📝 A2レベルの回答例(スペイン語+日本語訳)

スペイン語日本語訳
Dónde y cuándo:
Me gustaría ir a Andalucía, en el sur de España. Quiero ir en verano.
どこ・いつ:
スペインの南にあるアンダルシアに行きたいです。夏に行きたいと思っています。
Con quién:
Voy a ir con mi novio porque él conoce muy bien la zona de Sevilla y Málaga.
誰と:
セビージャやマラガのあたりをよく知っているので、彼氏と一緒に行くつもりです。
Por qué:
Quiero visitar la famosa Alhambra de Granada. Además, nunca he estado en el sur y solo he viajado al norte o al centro. Es una zona muy bonita y creo que la comida es deliciosa.
なぜ:
グラナダにある有名なアルハンブラ宮殿を訪れたいからです。それに、今まで南には行ったことがなく、北部か中央にしか旅行していません。とてもきれいな地域ですし、食べ物もおいしいと思います。

この回答例では、A2で押さえておきたい文法・表現が自然に組み込まれています。

  • 願望:Me gustaría ir a… / Quiero ir…
  • 未来の予定:Voy a ir con mi novio.
  • 過去の経験:Nunca he estado en el sur y solo he viajado…(現在完了)

実際の試験では、これと全く同じ内容を話す必要はありません。大事なのは、

  • 各ポイントに対して、最低1〜2文ずつ用意すること
  • 願望(Me gustaría / Quiero)、予定(Voy a〜)、経験(Nunca he…)などを意識的に混ぜること

です。準備時間のうちに、「どこ・いつ・誰と・なぜ」の見出しごとにキーワードを書き出しておくと、本番で口が滑らかに動きやすくなります。

Tarea 2:写真の描写(Descripción de una fotografía)

Tarea 2では、2枚の写真から1枚を選び、その写真に写っている内容を2〜3分間かけて描写します。ここでも、カードには「何について話すべきか」がポイントとして書かれています。

写真の状況例:屋外の市場で、様々な果物や野菜を売買している人々。

Puntos de orientación
(話すべきポイント)
1. Describa a las personas y el lugar.
人々や場所を描写する。
2. Describa lo que están haciendo las personas.
人々が何をしているかを描写する。
3. Describa los objetos y el ambiente.
物や周囲の環境を描写する。
4. Dé su opinión sobre lo que ve.
見たものについて意見を述べる。

ここで活躍するのが、現在進行形(estar + gerundio)と、hay / estar / ver といったごく基本的な動詞です。

📝 A2レベルの回答例(スペイン語+日本語訳)

スペイン語日本語訳
Personas y lugar:
La foto muestra un mercado que está en la calle, al aire libre. Hay mucha gente.
人々と場所:
この写真は、屋外の通りにある市場を写しています。たくさんの人がいます。
Lo que están haciendo:
Una señora está comprando fruta y está hablando con el vendedor. El vendedor está ofreciendo la fruta. Otras personas están caminando por el mercado y mirando los productos.
何をしているか:
1人の女性が果物を買っていて、店員と話をしています。店員は果物を勧めています。他の人たちは市場の中を歩きながら、商品を見ています。
Objetos y ambiente:
Veo muchas cajas con diferentes frutas y verduras: tomates rojos, plátanos amarillos, etc. El día parece soleado, porque la luz es muy brillante.
物と雰囲気:
さまざまな果物と野菜が入った箱がたくさん見えます。赤いトマトや黄色いバナナなどです。光がとても明るいので、晴れの日のように見えます。
Opinión:
Me gusta esta foto porque el mercado parece muy animado. Es importante comprar productos frescos.
意見:
この写真は市場がとてもにぎやかに見えるので、気に入っています。新鮮なものを買うことは大切だと思います。

このタスクのポイントは、「何も思いつかない…」と沈黙してしまわないように、描写のテンプレートを持っておくことです。例えば、

  • 場所:En la foto veo… / Es un lugar… / Está en…
  • 人:Hay muchas personas / Hay una mujer, un hombre, unos niños…
  • 行動:Están comprando / están hablando / están esperando…
  • 物・雰囲気:Veo muchas mesas / sillas / coches… El día parece…
  • 意見:Me gusta esta foto porque… / Me parece interesante porque…

といった「型」をいくつか暗唱しておき、写真に合わせて中身だけ入れ替えるイメージで話すと安定します。

Tarea 3:面接官との会話(Interacción con el entrevistador)

Tarea 3は、面接官がある役(友人・兄弟・店員など)を演じ、その相手と一緒に何かを決めていく会話を行うタスクです。時間は3〜4分程度で、

  • 提案をする
  • 意見を述べる
  • 未来の予定を立てる
  • 最終的に合意に達する

といった流れが含まれます。

状況例:
両親の結婚20周年記念のサプライズパーティーを、面接官(あなたの兄弟)と一緒に企画する。

会話の中では、少なくとも次のような要素を含めることが求められます。

  • 挨拶
  • パーティーの提案
  • 場所と時間
  • 招待客
  • 食べ物と飲み物
  • パーティー中の活動
  • プレゼント
  • 別れの挨拶

以下に、A2レベルで十分合格ラインに届く会話例を示します。

🗣️ A2レベルの会話例(スペイン語+日本語訳)

役割スペイン語日本語訳
受験者
(挨拶・提案)
Hola, Carlos, ¿qué tal? ¿Recuerdas que pronto es el aniversario de papá y mamá? ¿Qué te parece si organizamos una fiesta sorpresa?やあ、カルロス、元気? もうすぐお父さんとお母さんの結婚記念日だよね。サプライズパーティーを開くっていうのはどうかな?
面接官¡Buena idea! Pero ¿dónde la hacemos?いい考えだね!でも、どこでやる?
受験者
(場所・時間)
Podemos hacerla en mi casa, el sábado por la noche. Pienso que mi casa es más grande.私の家で、土曜日の夜にやることもできるよ。うちのほうが広いと思うんだ。
面接官Sí, perfecto. ¿A quién invitamos?うん、いいね。誰を招待しようか?
受験者
(招待客)
Quiero invitar a la abuela y a los tíos. Y voy a llamar también a dos de sus mejores amigos.おばあちゃんとおじさん・おばさんを招待したいな。それから、二人の親友にも電話するつもり。
面接官Muy bien. ¿Y la comida, qué compramos?いいね。じゃあ、食べ物はどうする? 何を買おうか?
受験者
(食べ物)
Podemos comprar jamón y queso, y yo voy a preparar una tarta de chocolate.ハムとチーズを買ってもいいし、私はチョコレートケーキを作るよ。
面接官Me parece bien. ¿Nos vemos el viernes para empezar?いいと思うよ。準備を始めるのに、金曜日に会おうか?
受験者
(別れ)
Sí, nos vemos el viernes por la tarde. ¡Hasta luego!うん、金曜日の午後に会おう。じゃあまたね!

ここでは、A2レベルで重要な表現がたくさん使われています。

  • 提案:¿Qué te parece si organizamos…? / Podemos hacerla en mi casa.
  • 意見:Pienso que mi casa es más grande. / Me parece bien.
  • 未来の予定:Voy a llamar… / voy a preparar…
  • 簡単な合意:Sí, perfecto. / Muy bien.

本番で大切なのは、「完璧な文を言おう」と考え過ぎて沈黙してしまうよりも、短くてもいいので返答を途切れさせないことです。間違えてもやり直せば問題ありません。

例えば、

Podemos… / ¿Qué te parece si…? / Yo voy a… / Me parece bien.

といった「会話を前に進めるためのフレーズ」を何個か暗唱しておくだけで、Tarea 3の怖さはかなり減っていきます。

合格ラインに届かせよう

DELE A2の口頭試験は、0〜3のスケールで評価され、その中の基準2に到達していればA2として合格レベル(Apto)とみなされます。

基準イメージ
3A2レベルを明確に上回っている(かなり余裕がある状態)
2A2レベルに相当(合格ライン)。メッセージは明確で、多少の誤りがあっても理解を妨げない。
1まだレベルに達していない。非常に基本的な構造しか使えず、内容が理解しづらい。

基準2(合格ライン)で特に重視されるのは、次のようなポイントです。

  • メッセージが明確かどうか
    多少の発音ミスや言い直しがあっても、相手が「何を言いたいのか」を理解できるか。
  • 基本的な文法構造を使えているか
    現在形に加え、過去形(点過去・線過去)、簡単な未来(ir a + 不定詞)など。
  • タスクで要求された情報をすべて話しているか
    Tarea 1・2・3それぞれで、試験用紙に書かれたポイントを大きく取りこぼしていないか。

逆に言えば、「文法的に完璧であること」は合格の条件ではありません。最も致命的なのは、

  • 沈黙が長く続くこと
  • 試験用紙のポイントにほとんど触れないこと
  • 返答があまりに短く、一言で終わってしまうこと

です。DELE A2の口頭試験で合格を確実にするには、「間違えてもいいから、課題で要求された情報をすべて話しきる」という意識が非常に重要になります。

ヨルスペオンラインでDELE A2口頭試験の「定型文」を整えよう

ここまで見てきたように、DELE A2の口頭試験は、

  • Tarea 1:どこ・いつ・誰と・なぜ、といった決まりきったポイントを話す独話
  • Tarea 2:場所・人・行動・意見という「写真描写の型」に沿った説明
  • Tarea 3:提案・意見・予定・合意というパターンに沿った会話

と、ある程度「型」が決まっている試験です。つまり、試験前に準備できる部分が非常に多いパートとも言えます。

ヨルスペオンラインでは、A1〜C1レベルまでの文法・語彙・読解を日本語で丁寧に解説した動画に加えて、DELE・西検に向けた作文添削や質問対応も行っています。DELE A2の口頭試験対策としても、

  • Tarea 1・2・3それぞれのテーマに合わせた「自分専用の定型文」を一緒に作る練習
  • 作った文章をもとに、音読・暗唱用のスクリプトとして整えていく作業
  • LINEでの質問を通して、「この表現でA2として自然か?」を細かく調整すること

といった形で、本番の試験でそのまま使えるスペイン語を一緒に準備していくことが可能です。

DELE A2の口頭試験は、形式と評価基準さえ分かってしまえば、決して「センスがある人だけが受かる試験」ではありません。
定型文と必須情報を押さえながら、少しずつ「話せる実感」を積み上げていきましょう。
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この記事を書いた人

Take(吉川)

ヨルスペ講師Take

前職の社内留学制度でペルー留学を経験し、ゼロから
DELE C2 にわずか 11 ヶ月で合格。スペイン語技能検定1級合格(文部科学大臣賞)。

スペイン語教室「ヨルスペ」主宰、「ヨルスペオンライン」講師として延べ2万人以上にスペイン語を指導。

X(旧Twitter)、YouTube、Instagram、Threads など各種SNSでもスペイン語情報を発信中。合計フォロワー数は 1.7万人以上


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