DELE A1の勉強をしていると、読解や聴解は「問題集を解いていけば何とかなりそう」と感じる一方で、口頭試験だけはどうしても不安…という方は少なくありません。
面接官の前で一対一で話すプレッシャー、何を聞かれるか分からない不安、そしてたった10分間で評価が決まるという緊張感。A1レベルとはいえ、初めての方にとってはなかなかのハードルに感じられると思います。
しかし、DELE A1の口頭試験は、タスクの内容も評価基準も非常に明確です。形式さえ理解してしまえば、「何を練習すればいいのか」がはっきり見えてきますし、A1レベルに求められているのは「完璧なスペイン語」ではなく、シンプルな文で必要な情報を伝えられるかどうかだけです。
この記事では、DELE A1口頭試験の3つのタスクの流れと評価の考え方、そしてA1レベルで十分な定型フレーズのイメージを、できる限り分かりやすく整理して解説していきます。
DELE A1全体の中での口頭試験の位置づけ
まず、DELE A1全体の中で、口頭試験がどのような位置づけにあるかを簡単に押さえておきましょう。
| 試験 (Prueba) | 内容 | 時間 | 配点 |
| Prueba 1 | 読解 | 45分 | 25点 |
| Prueba 2 | リスニング | 25分 | 25点 |
| Prueba 3 | 作文 | 25分 | 25点 |
| Prueba 4 | 口頭試験 | 10分(+準備10分) | 25点 |
合否は、次のように2グループに分けて判定されます。
| グループ | 試験 | 最低点 |
| グループ1 | 読解+作文 | 30点 / 50点満点 |
| グループ2 | リスニング+口頭試験 | 30点 / 50点満点 |
口頭試験は、グループ2の半分(25点)を占める重要なパートです。目安としては、
- リスニングと口頭試験を合わせて50点中30点以上を取る
- 口頭試験単体では25点中15点前後を目標にする
というイメージで取り組むと、現実的な合格ラインが見えてきます。
DELE A1口頭試験の基本構造:準備10分+本番10分
口頭試験は、次のような流れで進みます。
- 準備時間:10分(Tarea 2・3のためのカードを見ながらメモ作成)
- 本番:10分(Tarea 1〜3を連続して実施)
- 試験官:面接官1名+評価者1名(話す相手は主に面接官)
タスクは全部で3つです。
| Tarea | 内容 | 形式 |
| Tarea 1 | 自己紹介 | 一人で話す |
| Tarea 2 | 身近なテーマについての発表 | 一人で話す |
| Tarea 3 | 面接官との会話+質問 | 面接官との対話 |
それぞれのタスクの目的と、A1レベルで押さえておきたいポイントを順番に見ていきましょう。
Tarea 1:自己紹介
Tarea 1は、いわばアイスブレイクです。ここで完璧な表現を使う必要はなく、次のような「身分証明情報」をさらっと伝えられれば十分です。
- 名前
- 年齢
- 国籍・出身地
- 居住地
- 職業または学業
準備時間の段階で、これらはスペイン語で完全にスクリプト化して暗唱レベルにしておくと安心です。A1で押さえておきたい文法・語彙は、
- 動詞 ser, llamarse, tener, vivir の直説法現在形
- 数字(年齢)・国籍・都市名
といった非常に基本的なものだけです。ここは「ミスしないこと」よりも、落ち着いて口を動かすことに慣れておくことが大切です。
以下は、DELE A1のTarea 1(自己紹介)でそのまま使える定型フレーズを一覧にまとめたものです。フレーズの形を覚えておき、数字や名前の部分だけを入れ替えるだけで、安定して答えられるようになります。
| スペイン語フレーズ | 日本語訳 |
|---|---|
| Me llamo Kenji Tanaka. | 私の名前はタナカケンジです。 |
| Tengo 25 años. | 私は25歳です。 |
| Soy de Japón, pero vivo en Tokio. | 日本出身ですが、東京に住んでいます。 |
| Soy japonés (受験者が女性なら → Soy japonesa.) | 私は日本人です。 |
| Trabajo como oficinista. / Trabajo en una empresa. | 事務員として働いています/会社で働いています。 |
| Soy estudiante de español. | 私はスペイン語の学生です。 |
| Vivo con mi familia / solo. | 家族と/一人で暮らしています。 |
| En mi tiempo libre leo libros y veo la tele. | 自由時間には本を読んだりテレビを見たりします。 |
| Estudio español desde hace un año. | スペイン語は1年前から勉強しています。 |
| Estudio español porque me gusta la cultura española. | スペイン文化が好きなのでスペイン語を勉強しています。 |
Tarea 2:身近なテーマについての発表
Tarea 2では、準備時間中に渡されるカードからテーマを一つ選び、カードに書かれている4つのポイントに沿って短い発表を行います。形式としては「独話(モノローグ)」です。
テーマ例としては、
- 自由時間の過ごし方
- 1日のスケジュール
- 家族について
- 住んでいる町について
など、あくまで自分の身の回りのことが中心です。評価で最も重要なのは、文法の正確さよりも、カードに書かれているポイントを全部カバーできているかどうかです。
例えば「自由時間」というテーマで、カードに次の4つが書かれていたとします。
- 何をするか
- いつするか
- 誰とするか
- なぜそれが好きか
A1レベルで十分な発話のイメージは、次のようなものです。
- En mi tiempo libre me gusta ir al gimnasio.
自由時間にはジムに行くのが好きです。 - Normalmente voy los martes y los jueves por la tarde.
たいてい火曜日と木曜日の午後に行きます。 - Voy con mi amiga porque es más divertido.
友だちと一緒に行きます。そっちの方が楽しいからです。 - Me gusta mucho porque puedo relajarme y hacer ejercicio.
リラックスできて運動もできるのでとても好きです。
ここで重要なのは、
- 動詞 gustar の基本的な使い方(Me gusta / Me gusta mucho …)
- 曜日・時間帯の表現(los martes, por la tarde など)
- 理由を述べるための porque
- 誰と:con mi amiga / con mi familia / solo など
といった、ごく限られたパターンだけです。A1では長く流暢に話す必要はなく、短い文をいくつか繋げて、カードの4ポイントをきちんと埋めることが最優先になります。
Tarea 3:面接官との会話+質問
Tarea 3は、Tarea 2で話した内容をベースに、面接官と短くやり取りするパートです。さらに最後には、受験者から面接官に質問をすることが求められます。
評価されるのは「高度な会話力」ではなく、
- 面接官の簡単な質問を理解できるか
- 短い文でシンプルに答えられるか
- 自分からも2つほど質問をすることができるか
という、ごく初歩的なやり取りの部分です。
質問の部分は、準備時間中にあらかじめ作っておくことができます。例えば、自由時間がテーマだったなら、次のような質問が定番です。
- ¿Le gusta hacer deporte?
(スポーツをするのはお好きですか?) - ¿Qué hace usted en su tiempo libre?
(自由時間には何をされますか?)
面接官には基本的に usted を使いますので、動詞の活用だけ注意してください。文法を複雑にしようとせず、現在形のシンプルな質問に絞るのが安全です。
評価基準:何をどのように見られているのか
DELE A1の口頭試験は、主に次の2つのカテゴリーで評価されます。
| カテゴリー | 主に見られるポイント |
| スペイン語を正しく使えているか | 現在形・性数一致・冠詞などの基本的な文法や発音が、意味理解の妨げになっていないか |
| タスクの達成度 | 求められた情報をきちんと提供できているか(特にTarea 2の4ポイントなど) |
A1レベルの合格ラインは、
- 短い発話や表現を使って、必要な情報をなんとか伝えられている
- 文法ミスはあっても、意味は理解できる
- タスクで求められた内容を大きく取りこぼしていない
といった状態であれば十分とされています。完璧な文法や流暢さは前提条件ではありません。むしろ、「カードに書かれたことを全部話せているか」「沈黙せずに返事ができているか」が、スコアに直結します。
準備10分の使い方:ここで勝負が決まる
DELE A1の口頭試験で意外と重要なのが、「本番10分」よりもむしろ準備時間の10分です。この10分で、次の3点を仕上げておくと、本番での不安がかなり減ります。
- Tarea 1用の自己紹介フレーズ(ほぼ暗唱)
- Tarea 2のカードにある4ポイントごとのキーワード(各1文ずつ)
- Tarea 3で面接官に聞く質問を2つ(usted で現在形)
文章を完璧なスペイン語で書き出す必要はありません。自分が見て分かる簡単なメモで良いので、「どの順番で」「何を話すか」を頭の中で一度シミュレーションしておきましょう。
準備の質が高ければ高いほど、「本番はメモを見ながら口を動かすだけ」に近い感覚で臨むことができます。
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ここまで見てきたように、DELE A1の口頭試験は「センス」や「度胸」で乗り切るタイプの試験ではなく、形式と評価基準があらかじめ決まっている試験です。裏を返せば、事前に準備できる部分が非常に多いということでもあります。
ヨルスペオンラインでは、A1〜C1レベルまでの文法・語彙・読解を日本語で丁寧に解説した動画に加えて、DELE・西検に向けた作文添削や質問対応も行っています。口頭試験対策としても、
- 自己紹介・自由時間・家族など、A1口頭試験で頻出のテーマをスペイン語で組み立てる練習
- 書いた内容をもとに、音読・暗唱用の「自分専用スクリプト」を作る練習
- LINEでの質問を通して、表現の微調整や自然さの確認
といった形で、「試験でそのまま使えるスペイン語」を一緒に整えていくことが可能です。
スペイン語の口頭試験は、正しい準備をすれば決して怖いものではありません。
DELE A1を最初のステップとして、スペイン語で「話せる実感」を少しずつ積み上げていきましょう。
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