スペイン語の学習を始めたばかりの方にとって、「最初の公式な目標」になるのがDELE A1です。
「そもそもDELEって何?」「A1ってどのくらいのレベル?」「合格するには何点取ればいいの?」といった疑問をお持ちの方も多いと思います。

この記事では、DELE A1の試験形式・合格基準・勉強の優先順位をまとめて整理しつつ、初心者が最短でA1取得を目指すための具体的な戦略について解説していきます。

DELE A1とは?スペイン語学習のスタートラインになる資格

DELE(Diplomas de Español como Lengua Extranjera)は、スペインの教育・文化・スポーツ省の委託を受けてインスティトゥト・セルバンテスが発行している、スペイン語の公的資格です。世界中で通用する「スペイン語能力の証明書」のようなものだと思っていただいて構いません。

その中でDELE A1は、CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)のA1レベルに相当します。ざっくり言うと、次のようなことができるレベルです。

  • ごく日常的で頻繁に使われる表現を理解し、簡単な場面で使うことができる
  • 自分自身や家族、住んでいる場所、持ち物、仕事などについての簡単な自己紹介ができる
  • 相手がゆっくり・はっきり話してくれれば、初歩的なコミュニケーションがとれる

「旅行先で最低限やり取りができる」「スペイン語学習の基礎を一通り終えた」と言える最初の目安が、このA1になります。

資格として形に残るので、学習モチベーションの維持や、その後のA2・B1へのステップアップにも非常に相性が良いレベルです。

DELE A1試験の構成と時間配分(全4技能)

DELE A1は、次の4つの試験(Pruebas)で構成されています。4技能をバランスよく評価する設計になっており、どれか1つだけが飛び抜けていても合格できるわけではありません。

試験 (Prueba)評価内容構成時間配点
Prueba 1Comprensión de lectura
(読解)
4タスク(25問)45分25点
Prueba 2Comprensión auditiva
(聴解)
4タスク(25問)25分25点
Prueba 3Expresión e interacción escritas
(作文・筆記交流)
2タスク25分25点
Prueba 4Expresión e interacción orales
(口頭表現・会話交流)
3タスク10分(準備10分)25点

満点は合計で100点(25点×4技能)ですが、合否判定は「単純な合計点」ではありません。この点は後ほど詳しく説明します。

Prueba 1:読解(Comprensión de lectura)

時間:45分/問題数:25問/タスク数:4

複数の短いテキストを読み、選択問題やマッチング問題に答えていく形式です。テキストは、メモ・広告・メール・簡単な案内文など、日常生活で目にしやすいものが中心です。

このレベルでは、必要に応じて文法や語彙が調整された「本物のテキスト」が使われます。つまり、完全なやさしいスペイン語ではなく、実際のスペイン語にかなり近い形で出題されます。

Prueba 2:リスニング(Comprensión auditiva)

時間:25分/問題数:25問/タスク数:4

録音された会話や短いメッセージを聞き、その内容に合った選択肢を選びます。内容は、日常生活・身近な話題・差し迫ったニーズに関するシンプルなやり取りが中心です。

各音声は2回再生されるので、1回目は全体の意味を掴むこと、2回目は細部を確認することに意識を分けると解きやすくなります。

Prueba 3:作文(Expresión e interacción escritas)

時間:25分/タスク数:2

  • タスク1:氏名や住所、基本的な個人情報などを尋ねるフォームに記入する(目安:15〜25語)
  • タスク2:短い手紙・ハガキ・メール・メッセージなどの文章を書く(目安:30〜40語)

採点は、2人の採点者による全体的なスペイン語運用能力の評価(0〜3点)で行われ、その平均が最終点になります。細かい減点方式ではなく、

  • 課題で求められている内容を満たしているか(タスクの達成度)
  • 基本的な文構造と語彙が適切か
  • スペリングに間違いはないか

といった観点が重視されます。

Prueba 4:口頭試験(Expresión e interacción orales)

準備時間:10分/本番:10分/タスク数:3

2人の試験官(面接官+評価者)の前で実施されます。内容は次の3つです。

  • タスク1:自己紹介(名前・出身・家族・仕事など、基本的な個人情報)
  • タスク2:身近なテーマについて短く発表(趣味・1日の過ごし方・休日の予定など)
  • タスク3:面接官との簡単なやり取り+自分から質問をする

採点は、「スペイン語の運用能力」と「タスクの達成度」の2つの観点から、0〜3点で評価されます。完璧な文法や発音よりも、簡単でもいいので、タスクで求められていることにきちんと答えているかが重視されます。

DELE A1の合格基準:2つのグループでそれぞれ30点以上が必須

DELE A1では、単純に「合計点が何点以上なら合格」という仕組みではありません。4つの試験が次の2つのグループに分かれており、それぞれで30.00点以上を取る必要があります。

グループ試験最低点
グループ1読解+作文30.00点以上 / 50点満点
グループ2リスニング+口頭試験30.00点以上 / 50点満点
  • 合格(Apto):グループ1・グループ2の両方で 30.00点以上を取得
  • 不合格(No apto):どちらか一方でも 30.00点未満の場合は不合格

つまり、得意科目だけで高得点を取っても合格できない設計になっています。4技能をバランスよく伸ばすことが前提条件です。

なお、読解・リスニングはマークシート方式で、作文・口頭試験は評価者による評価です。この違いを理解しておくと、勉強の優先順位も立てやすくなります。

DELE A1合格のための勉強戦略

ここからは、実際に「どう勉強していくか」の話です。A1レベルとはいえ、試験形式に合わせた対策をしているかどうかで、合否が大きく変わります。

① 文法と語彙の「A1レベルの範囲」をきちんと固める

DELE A1対策は、やるべきことはシンプルで、

  • 現在形(規則・主要な不規則動詞)
  • 名詞と形容詞の性・数の一致
  • 基本的な前置詞(a, en, por, para など)の使い方
  • よく使う表現(自己紹介・家族・仕事・趣味など)

といった「A1で本当に使う部分」に絞って仕上げていくことが重要です。いきなり過去形や接続法などに手を出す必要はありません。

② 読解・リスニングは「パターン+時間感覚」に慣れる

読解・リスニングはマークシート方式です。対策としては、

  • 公式問題集や模擬試験を使って「よく出るパターン」に慣れる
  • 45分/25分という時間配分の中で解き切る練習をする
  • 「全問正解を目指す」よりも「確実に拾える問題を落とさない」意識を持つ

といった点を押さえておくと、グループ1・2のそれぞれで30点を超えやすくなります。

③ 作文:語数と「書くべき内容」を外さない

作文は、語数とタスクの条件を守っていれば、完全なスペイン語でなくても合格点に十分届きます。A1では次の2点が特に重要です。

  • タスク1:フォームに、求められている情報を漏れなく書く(15〜25語)
  • タスク2:指定された内容(誰に・何について・どんな目的で)をすべて盛り込む(30〜40語)

逆に言うと、文法が多少あいまいでも、タスクで指定されているポイントを外さないことが最優先です。

④ 口頭試験:準備10分で「使い回せる素材」を用意する

口頭試験では、本番前に10分間の準備時間が与えられます。この時間を、

  • 自己紹介で話す内容のメモを書く
  • タスク2のトピックに関するキーワードを書き出す
  • 面接官に投げる質問を2〜3個事前に決めておく

といった形で使えると、本番で沈黙するリスクをかなり減らすことができます

A1なので、高度な表現は不要です。
むしろ、「短く」「はっきり」「シンプルな文」で話す方が評価に繋がりやすいです。

独学でつまずきやすいポイントとA1合格の難所

A1レベルは「簡単そう」に見える一方で、独学だと次のような典型的なつまずきが発生しやすいレベルでもあります。

  • 語彙ばかり覚えてしまい、文法との結びつきが弱い
  • 文法理解が“なんとなく”で止まり、説明できるほどの理解に到達していない
  • 作文や口頭試験の練習が不足し、本番で言葉が出てこない

特にDELE A1はその場しのぎの暗記では突破できない試験で、読解・聴解・作文・口頭の4技能をバランスよく伸ばす必要があります。体系的に学べる環境があるかどうかで、合否が明確に変わってきます。

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DELE A1は、スペイン語の世界への扉を開く最初の資格です。この記事で試験形式と合格基準の全体像がイメージできたら、あとはそこから逆算して学習を組み立てていくだけです。

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といった教材とサポートを組み合わせて、A1〜C1レベルまで一貫して学べる環境を用意しています。特にA1・A2の段階では、日本語で「なぜそうなるのか」をきちんと理解しておくことが、その後の伸びに直結します。

スペイン語の学習を「なんとなく」から「計画的」に。
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