スペイン語の文でよく登場する「a la que」「al que」などの表現。
特に、No he encontrado la tienda a la que quería ir.(行きたかった店が見つからなかった)といった文を見て、
「なぜ a la que なの?」と疑問に思った方は多いのではないでしょうか。
実はこの文は、2つの文を関係代名詞でつなげたものなんです。 文の仕組みを丁寧に分解していくと、前置詞+関係代名詞というスペイン語特有の構造が自然に理解できます。
① 文の出発点:「行きたかった店が見つからない」
まず、意味を分けると以下の2つの文になります。
- ① No he encontrado la tienda.
その店が見つからなかった。 - ② Quería ir a la tienda.
その店に行きたかった。
この2文を「行きたかった店が見つからなかった」と一文にしたいとき、 スペイン語では 関係代名詞 que を使って2文をつなげます。
まずはシンプルに、次のように組み合わせてみましょう。
No he encontrado la tienda que quería ir a.
これで意味は伝わりますが、スペイン語では文末に前置詞を置くことはできません。 この “a” は動詞 ir a(〜へ行く) に必要な前置詞です。 英語では “the store I wanted to go to” と言っても自然ですが、スペイン語ではこれがNGなんです。
② 前置詞を関係詞の前に持ってくる
文末の前置詞 a をそのまま残すことはできないので、スペイン語では次のように 関係代名詞 que の前に移動 させます。
No he encontrado la tienda a que quería ir.
これで文法的には正しい構造になります。 「que(〜するところの)」という関係代名詞の前に、 動詞 ir a の前置詞 a をくっつけて表現している、というわけです。
ただし、これでもまだ完全ではありません。 スペイン語では、前置詞を伴う関係代名詞の前に、冠詞(el/la/los/las)を置くのが原則です。
③ 冠詞を加えて完成形に:a la que
先行詞が女性名詞 la tienda なので、対応する冠詞は la。 これを加えることで、文が完全な形になります。
No he encontrado la tienda a la que quería ir.
行きたかった店が見つからなかった。
このように、「a la que」は “a + 冠詞 + que” という構造です。 前置詞を文頭に出すだけでなく、先行詞の性・数に合わせて冠詞を入れるのがポイント。 男性名詞なら “al que”、複数なら “a los que / a las que” になります。
| 先行詞 | 性・数 | 形 | 例文 |
|---|---|---|---|
| el restaurante | 男性単数 | a l que | Este es el restaurante al que fuimos ayer. これは昨日私たちが行ったレストランだ。 |
| la tienda | 女性単数 | a la que | No he encontrado la tienda a la que quería ir. 行きたかったお店が見つからなかった。 |
| los amigos | 男性複数 | a los que | Conozco a los amigos a los que invitaste. 君が誘った友達を私は知っている。 |
| las personas | 女性複数 | a las que | Saludé a las personas a las que ayudaste. 私は君が助けた人たちに挨拶をした。 |
冠詞を入れるのは一見面倒に思えますが、慣れてくるとむしろ意味を明確にしてくれる便利なルールです。
④ 応用のヒント:「前置詞+関係代名詞」は他にもある
この “a la que” のように、前置詞と関係代名詞を組み合わせる表現はスペイン語では非常に多く登場します。 たとえば次のようなパターンも覚えておくと便利です。
- con el que / con la que(〜と一緒に)
→ La persona con la que trabajo es simpática.(私が一緒に働いている人は親切だ) - de la que(〜の)
→ Esta es la razón de la que te hablé.(これが君に話した理由だ) - por la que(〜によって/〜を通って)
→ Esta es la calle por la que pasa el autobús.(これがバスが通る道だ)
関係代名詞は「知識」として覚えるよりも、「会話で見聞きして慣れていく」ことが大切です。 最初は a la que / al que だけでも自然に使えるようになると、 作文でもぐっと表現の幅が広がります。
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