スペイン語学習を続けてきた方にとって、DELE B2はひとつの大きな節目となる資格です。中上級レベルの証明として世界的に認知されており、合格すれば、スペイン語圏での進学や就職、さらにはスペイン国籍取得の際にもアドバンテージになります。

一方で、B1と比べて試験内容は格段に難しくなり、「勉強量が足りない」「何から手を付ければいいのか分からない」と感じて途中で挫折してしまう方が少なくないのも事実です。

この記事では、インスティトゥト・セルバンテスが公表している最新の公式ガイドをもとに、DELE B2の試験形式・合格基準・各パートの難所と対策ポイントを、プロ講師の視点から体系的に整理して解説していきます。

「DELE B2は難しい」と言われがちですが、評価基準とタスク構造を正しく理解すれば、闇雲に不安になる必要はありません。順番に確認していきましょう。

DELE B2とは?中上級レベルで証明できる能力

DELE B2は、ヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR)における上位レベルに相当します。合格者は、次のような能力を備えていると評価されます。

  • 複雑なテキストの理解:抽象的な話題や専門的な内容であっても、文章や音声の主要な論点を把握できる
  • 流暢なコミュニケーション:相手に過度な配慮を求めず、ネイティブと自然に意見交換ができる
  • 明確で詳細な表現:広範なテーマについて、根拠を示しながら論理的に議論を展開できる

B1が「中級への入口」だとすると、B2は実務・学術レベルに耐えうる中上級であることを示す資格と言えるでしょう。

DELE B2 試験時間・構成まとめ

DELE B2の試験は全4科目で構成され、合計試験時間は約4時間に及びます。各科目の配点は均等に25%ずつ割り振られています。

試験科目タスク数時間配点
読解470分25%
リスニング540分25%
作文280分25%
口頭試験320分+準備20分25%

どれか1科目が極端に弱いと合格が難しくなるため、全技能をバランスよく仕上げることが重要です。

各セクションの重要タスク解説(DELE B2)

ここでは、DELE B2試験を構成する4つのセクション(Prueba 1〜4)について、 それぞれどのような力が見られ、どのタスクが特に重要なのかを整理します。 事前に全体像を把握しておくことで、学習の優先順位が明確になります。

セクション試験時間主に評価される力特に重要なタスク
Prueba 1
読解
70分複雑な文章の論理構造把握・文脈理解タスク4:長文穴埋め(14問)
Prueba 2
リスニング
40分長めの音声を通して全体像を捉える力タスク5:講演・スピーチ理解
Prueba 3
作文
80分要約力・意見提示力・論理構成力タスク1・2:長文作文(300〜360語)
Prueba 4
口頭試験
20分
+準備20分
説明・比較・議論を行う会話力タスク1・3:解決策評価・データ議論

Prueba 1:読解(70分)

新聞記事、評論文、文学的要素を含む文章など、 抽象度の高いテキストを読みこなす力が試されます。

中でもタスク4は、約450語の本文中にある 14箇所の空所補充を行う難関タスクです。 接続詞・前置詞・指示語など、文法知識と文脈理解の両方が厳しく見られます。

Prueba 2:リスニング(40分)

フォーマルな講演やインタビューから、比較的カジュアルな会話まで、 幅広いジャンルの音声が出題されます。

タスク5では、約450語に及ぶ講演・スピーチを聴き、 内容理解を問う6問に答えます。 細部への執着よりも、話者の主張や論点の流れを掴む姿勢が重要です。

Prueba 3:作文(80分)

合計300〜360語という、DELE全体でも屈指の執筆量が求められるパートです。

タスク1では音声情報を聴き取り、 その要約と自分の意見を含めた手紙・文章を作成します。 情報整理能力と意見提示力の両方が評価対象となります。

タスク2では、グラフ分析またはブログ形式の書評・意見記事のいずれかを選択します。 データや内容を根拠として、論理的に展開できているかがポイントです。

Prueba 4:口頭試験(20分)

20分間の準備時間中はメモを取ることが可能ですが、 本番では読み上げは禁止されています。

タスク1では、与えられた課題に対して複数の解決策を比較し、メリット・デメリットを議論します。

タスク3では、統計データやアンケート結果を基に、 試験官と意見交換を行います。 「説明 → 意見 → 根拠」という論理構造が評価の鍵となります。

DELE B2の合格基準

DELE B2では、単純な総合点ではなく、以下の2グループ方式で合否が判定されます。

  • グループ1:読解+作文(50点満点中 30点以上)
  • グループ2:リスニング+口頭試験(50点満点中 30点以上)

どちらか一方でも基準点に届かない場合、不合格となります。そのため、「得意科目でカバーする」という戦略は通用しにくく、苦手分野を放置しない学習が不可欠です。

効率的なDELE B2対策のポイント

  • 接続詞と論理構成力の強化:読解・作文・口頭試験すべてに直結する最優先項目
  • 音声→要約→意見の訓練:ニュースや講演を聴き、要点を短く整理する練習
  • 議論用フレーズのストック:賛成・反対・譲歩・条件提示などを定型化

B2は「語彙量だけ」で突破できる試験ではありません。評価されているのは、「言語運用能力」「タスク達成」のバランスです。

まずは公式ガイドを確認し、「何ができればB2なのか」を正確に把握するところから始めましょう。正しい準備を積み重ねれば、DELE B2は決して超えられない壁ではありません。

まとめ:DELE B2で評価される本当のポイント

DELE B2で評価されているのは、 「ネイティブのように話せるか」や「語彙をどれだけ知っているか」ではありません。 B2レベルとして妥当な形で、情報や意見を整理し、論理的につなげて表現できているか、 その一点に集約されます。

たとえ発話や文章が完璧でなくても構いません。 接続詞を使って話の流れを作り、理由や根拠を示しながら、 与えられたタスクを最後までやり切れていれば、 B2の合格ラインには十分に到達します。 むしろ、無理に高度な表現を詰め込もうとして構成が崩れてしまう方が、 評価としてはマイナスになりやすいと言えるでしょう。

DELE B2は「運」や「勢い」で突破できる試験ではありませんが、 その一方で、評価基準とタスク構造が非常に明確な「準備できる試験」でもあります。 何を求められているのかを理解し、どの順番で情報を提示するかを整理しておくだけで、 本番の負担は大きく軽減されます。

ヨルスペオンラインでは、DELE B2を想定した 意見文の構成、要約+コメントの書き方、口頭試験用スクリプトの作成・調整を、 日本語でひとつずつ丁寧にサポートしています。 正しい準備を積み重ねれば、DELE B2は決して越えられない壁ではありません。

この記事を書いた人

Take(吉川)

ヨルスペ講師Take

前職の社内留学制度でペルー留学を経験し、ゼロから
DELE C2 にわずか 11 ヶ月で合格。スペイン語技能検定1級合格(文部科学大臣賞)。

スペイン語教室「ヨルスペ」主宰、「ヨルスペオンライン」講師として延べ2万人以上にスペイン語を指導。

X(旧Twitter)、YouTube、Instagram、Threads など各種SNSでもスペイン語情報を発信中。合計フォロワー数は 1.7万人以上

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