DELE B1の口頭試験は、多くの学習者にとって「もっとも難しく感じやすいパート」です。
A2までは質問に短く答えれば何とかなっていたのに、B1になると急に独話(モノローグ)や意見を伴う対話が求められ、「何をどこまで話せばいいのか分からない」と感じる方は少なくありません。
しかし実際のところ、DELE B1の口頭試験は形式と評価基準が非常に明確です。試験官は「流暢さ」や「難しい表現」を求めているわけではなく、B1レベルとして必要最低限の情報・意見・やり取りができているかを冷静に評価しています。
この記事では、公式の Modelo de Examen DELE B1 に基づき、口頭試験の全4タスクを順番に整理しながら、B1合格ラインに十分な回答例(日本語訳つき)を紹介します。
「完璧に話す」ことを目指すのではなく、「評価される話し方」を理解することを目標に、落ち着いて読んでいきましょう。
DELE B1 口頭試験の基本構造
- 準備時間:15分
- 試験時間:約15分
- 構成:4タスク(Tarea 1〜4)
この15分間で、発表・対話・描写・模擬状況対応というB1レベルにふさわしい多面的な能力が評価されます。
Tarea 1:テーマに関する発表(独話)
Tarea 1では、2つのテーマから1つを選び、指定されたポイントに沿って2〜3分間のモノローグを行います。意見・経験・助言などを接続詞を使って首尾一貫した形でまとめることが求められます。
テーマ例:La tecnología(テクノロジー)
- ¿Qué importancia tiene la tecnología en su vida?
あなたの生活において、テクノロジーはどのくらい重要ですか。 - ¿Qué aparatos tecnológicos utiliza más?
あなたが最もよく使っているテクノロジー機器は何ですか。 - ¿Cree que la tecnología es un problema para la gente mayor?
テクノロジーは高齢者にとって問題になると思いますか。 - ¿Qué recomienda a la gente que no usa mucho la tecnología?
あまりテクノロジーを使わない人に、どのようなことを勧めますか。
B1レベルの回答例(独話)
Para mí, la tecnología tiene una importancia fundamental. Sin mi móvil, sería imposible trabajar o hablar con mi familia en Japón.
Utilizo mucho el ordenador portátil, especialmente para estudiar español y buscar información.
Pienso que la tecnología puede ser un problema para la gente mayor porque a veces es difícil aprender a usar nuevos aparatos.
Recomiendo que los jóvenes enseñen a sus abuelos y tengan paciencia. Si tuviera que dar un consejo, diría que empiecen por cosas simples, como las videollamadas.
(日本語訳)
私にとって、テクノロジーはとても重要です。携帯電話がなければ、仕事をしたり、日本の家族と連絡を取ったりすることは不可能でしょう。
私は特にノートパソコンをよく使います。スペイン語を勉強したり、情報を調べたりするためです。
テクノロジーは高齢者にとって問題になることもあると思います。新しい機械の使い方を覚えるのは大変だからです。
若い人が祖父母に教え、忍耐強く接することを勧めます。アドバイスするとしたら、ビデオ通話のような簡単なものから始めると良いと思います。
Tarea 2:Tarea 1のテーマに関する対話
Tarea 2では、Tarea 1の内容をもとに、面接官と3〜4分間の会話を行います。仮定・意見表明・理由説明といったB1らしい表現が自然に出せるかが見られます。
会話例
Examinador: ¿Usted cree que la gente joven usa demasiado el móvil?
Candidato: Sí, creo que muchas personas lo usan demasiado. Es mejor que usemos el móvil para trabajar o estudiar, pero no para pasar todo el día en las redes sociales.
(日本語訳)
試験官:若い人は携帯電話を使いすぎていると思いますか?
受験者:はい、多くの人が使いすぎていると思います。携帯は仕事や勉強のために使う方が望ましいですが、一日中SNSを見るためではないと思います。
Examinador: Si le ofrecieran un trabajo sin usar tecnología, ¿lo aceptaría?
Candidato: Si el sueldo fuera muy bueno, quizás lo aceptaría, pero tendría que pensarlo con calma.
(日本語訳)
試験官:テクノロジーを使わない仕事を提案されたら、受けますか?
受験者:給料がとても良ければ受けるかもしれませんが、よく考える必要があります。
Tarea 3:写真の描写と関連会話
Tarea 3では写真を描写し、その内容を自分の経験や意見に結びつけて話すことが求められます。描写 → 推測 → 個人的関連づけ、という流れが理想的です。
写真テーマ:El trabajo(仕事)

En la foto veo a dos personas jóvenes en una oficina. Parece que son compañeros de trabajo y están tomando café.
Están hablando tranquilamente, así que supongo que es la hora del descanso.
Esta imagen me recuerda a mi antiguo trabajo, donde hablábamos mucho con los compañeros para crear un buen ambiente.
(日本語訳)
写真には、オフィスにいる2人の若い人が写っています。仕事仲間のようで、コーヒーを飲んでいます。
落ち着いて話しているので、休憩時間だと思います。
この写真は、良い雰囲気を作るために同僚とよく話していた以前の仕事を思い出させます。
Examinador: ¿Cree que es importante llevarse bien con los compañeros?
Candidato: Sí, pienso que es fundamental que haya buen ambiente porque así se trabaja mejor y con menos estrés.
(日本語訳)
試験官:同僚と良い関係を築くことは重要だと思いますか?
受験者:はい、とても重要だと思います。良い雰囲気があれば、効率よく、ストレスも少なく働けるからです。
Tarea 4:模擬的な状況での対話
Tarea 4は、苦情・依頼・交渉など、実際の日常生活を想定した対話です。問題の説明、要求、代替案の提示ができるかが評価されます。
状況:数日前に買ったノートパソコンが故障している。
Empleado: Buenos días. ¿En qué puedo ayudarle?
Candidato: Buenos días. Compré este ordenador portátil hace una semana, pero no funciona bien. Quería pedirle que me lo cambie por otro.
(日本語訳)
店員:いらっしゃいませ。ご用件は何でしょうか?
受験者:こんにちは。1週間前にこのノートパソコンを買いましたが、うまく動きません。別のものに交換していただきたいのですが。
Empleado: Podemos repararlo gratuitamente.
Candidato: Me parece inaceptable. No estoy de acuerdo con repararlo, ya que lo compré hace muy poco tiempo. Si no puede cambiármelo, entonces exijo que me devuelva el dinero.
(日本語訳)
店員:無料で修理できます。
受験者:それは受け入れられません。購入してからあまり時間が経っていないので、修理には同意できません。もし交換できないのであれば、返金を要求します。
まとめ:DELE B1口頭試験で評価される本当のポイント
ここまで見てきたように、DELE B1の口頭試験で評価されているのは、 「どれだけ流暢に話せるか」や「難しい表現を使えているか」ではありません。 B1レベルとして妥当な形で、意見や状況を整理して伝えられているか、 その一点に集約されます。
たとえ一文一文が短くても構いません。 接続詞を使って考えをつなぎ、理由を一言添え、沈黙せずにやり取りできていれば、 B1の合格ラインには十分に到達します。 むしろ、無理に高度な文法を使おうとして内容が崩れてしまう方が、 評価としてはマイナスになりやすいと言えるでしょう。
口頭試験は「センス」や「度胸」で乗り切るものではなく、 事前に準備できる要素が非常に多い試験です。 何を話すか、どの順番で話すかを整理しておくだけで、 本番の負担は大きく下げることができます。
ヨルスペオンラインでは、こうしたDELE B1口頭試験を想定した スクリプト作成や表現の組み立て方を、 日本語でひとつずつ丁寧に確認していくことが可能です。 正しい準備を積み重ねれば、口頭試験は決して怖いパートではありません。

